永遠に輝く霊的人格
【明治から大正にかけて活動されたお坊さんの文章を紹介しています。現代のお経ではないかと思ってます】
【これまでは書籍、「人生の帰趣」と「光明の生活」から少しばかり紹介してきましたが、ちょっと難しいところもあるので、分かりやすい「宗祖の皮髄」を取り上げてみようと思います。宗祖とは法然上人のこと。皮髄とは全体、あるいは全てということのようです】
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第一 永遠に輝く霊的人格
一、 総 説
永遠に照り輝く我が祖〔法然上人〕の霊的人格を標準として、我曹(われら)〔浄土宗の学僧のこと〕は血脈〔系譜〕を相承(そうしょう)〔法を受け伝えるということ〕せる末裔の本分たる自己の人格を形成せんことを期す。
さて皮髄(ひずい)とは、宗祖を学ぶ修行の功果として、得道(とくどう)の浅深なる階級とも見るべく、また一面よりは人の身髄を形成する皮肉骨髄の四部に例して、霊的人格を形成する精神上の四分類なり。
また、感覚と感情と知力と意志との受け持ちを殊にする部分とも言うことを得(う)べし。霊的譜脈〔系譜〕を受くる我らは宗祖のそれを各部〔感覚、感情、知力、意志〕に共に習はざるべからず。身体を形成するには皮肉等の四部〔皮肉骨髄〕具備すべきが如く、精神に於いても四部に亘(わた)りて全備(ぜんび)せんことを要す。
若しそれ宗教が感情に入り、偏して意志の信仰に欠くる時は、恰(あたか)も肉は豊富なれども骨が不健全なる如く、いずれにしても一方にのみ偏するは病的なり。我が祖の信仰の完全なる如く、我らもまた完全たらんことを期せざるべからず。
完全なる修養は知情意ともに弥陀に同化せらる。これを総括する者は霊我にして、霊我の人格即ち霊格なり。もし肉体の方より検(けん)すれば、元来宗祖と普通の人類とは異なる所なし。身体を構造する要素に於いても、また構成の形式に於いても、解剖学上はた、生理学上に於いても異点を見出さざるべし。
然れども宗教的意識の全部に於いては全く大いに異なれり。この宗教的精神に於ける我らは、宗祖の霊的実質を形成せし如くに習わざるべからず。実に宗祖の人格は完全かつ美麗にて間然(かんぜん)〔欠点をとりあげること〕するところあらざるなり。これまさしくその内容は弥陀の光明に依って成熟したる阿摩羅果(あまらか)〔眼、耳、鼻、舌、身、意、末那、阿頼耶、の8識のつぎ、9識のこと。阿摩羅識または真如ともいう〕なればなり。
果物もすでに成熟する暁には外皮も麗しく肉も美味に、種子(たね)も熟する如く、宗祖の霊的人格の立派なることは一見自(おの)ずから威にうたるる如く、また温容欽慕に耐えざる如く、精神の内なる感情も弥陀(ほとけ)に美化し、豊富にして微妙なる法喜禅悦の妙味を感じつつあるが如し。
また意志の骨の剛毅なること金剛(こんごう)の如くにして、南都北嶺の大衆の迫害に泰然として動かざるが如き、実に弥陀(ほとけ)に霊化せられたる、我が祖の人格の円満なる如きは、他に比例を見ざる所なり。かくの如き超人的霊格を形成せしめたる者は念仏三昧なり。
これに依って円熟したる知情意は共に霊的なり。宗祖の霊的要素は弥陀の光明によりて霊化し玉ひしなり。されば弥陀を離れて宗祖の実質を形成せし要素は見出す能はず。宗祖は我らの為に霊的実質を形成する一大要素を見出さんとて、永年に亘りて腐心せられたりき。
宗教は人の信仰と如来の光明とに依って成立す。衆生に本来仏性なければ宗教何の要もなし。人に仏性あり、煩悩に覆われて顕現すること能(あた)はず。たとえ仏性は具すれども、卵中の鶏のごとく之を孵化するに非(あら)ざれば霊性も活動すること能(あた)はざるなり。
人の信仰と如来の霊力に依って霊性は顕わるるなり。霊性を顕わして仏に成るのが仏教の目的なれば、宗祖の内容を洩(も)らし玉へる道詠(うた)について今、衆生の心田(しんでん)に仏種子(ほとけだね)を播下(ばんか)するものを選ばん。
道詠十首
一、 あみだ佛(ぶ)と云ふより外(ほか)は津の国の、
難波(なには)の事もあしかりぬべし
二、 往生は世に易(やす)けれどに皆人(みなひと)の、
誠の心なくてこそせね
三、 我は唯佛にいつかあふひ草、
心のつまにかけぬ日ぞなき
四、 かりそめの色のゆかりの恋にだに、
あふには身をも惜しみやはする
五、 あみだ佛と心は西にうつせみの、
もぬけはてたる声ぞすゞしき
六、 あみだ佛と申すばかりをつとめにて、
浄土の荘厳見るぞうれしき
七、 あみだ佛に染むる心の色に出(い)でば、
秋の梢のたぐひならまし
八、 月かげのいたらぬ里はなけれども、
ながむる人の心にぞすむ
九、 極楽へつとめてはやくいでたゝば、
身のおはりにはまいりつきなん
十、 生まれてはまづ思ひでん古里に、
契りし友のふかき誠を
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